薬剤師の私ですが、日常ではほとんど薬を使いません。
それでも――
「このときばかりは薬を使ったほうがいい」
そんな場面があります。
せっかく薬を使うなら正しく効果が出る使い方をしてほしい…!
こんな願いから、この記事では目薬の正しい点眼方法をお伝えします。
たとえば 点眼薬(目薬)。
「2滴さした方が効くんじゃない?」と思っていませんか?

👉 実は、点眼薬は1回1滴で十分。
1滴はおよそ 50μL ですが、目が保持できる量は20〜30μLほど。
つまり2滴以上さしても余分は流れ出してしまい、効果は上がらないのです。
正しい点眼方法(基本の手順)
1️⃣ 頭を少し後ろに傾ける
下まぶたを軽く下げ、薬液が入るスペースを作る

2️⃣ 容器の先をまつ毛やまぶたに触れさせないように
菌が容器に付着しないようにします
3️⃣ 1回は1滴で十分!
1滴の容量はおよそ 50μL ですが目に保持できる量は20〜30μLだけ
2滴以上だと余りは流れ出てしまいます。
4️⃣ 点眼後は1分ほど目を閉じる
強くつぶらず、そっと閉じる
👉 目頭を軽く押さえると、薬が目に留まりやすく、鼻や喉に流れにくくなり全身への副作用も減らせる

手を洗ってから点眼することも大切です。
2種類以上の点眼薬を使うとき
5分以上間隔をあけるのが基本です
理由:
- 先に入れた薬が流れ出てしまう
- 目の中で薬同士が混ざり合い、成分が変化してしまう恐れがある
5分もあけるの面倒…OTC(市販薬)が便利!
- 1本に複数の成分が配合されているので、例えばドライアイ+かゆみなども1本で対応できます
- 1本なので間隔を空ける手間がなく、とても便利です
- 逆に2種類以上を併用すると、成分や効果が重複して副作用リスクが高まってしまいます
👉 OTCは基本的に 1本を正しく使うのが◎
処方薬の場合
- 症状に応じて 異なる作用をもつ点眼薬を複数処方されることがあります
- 例:ヒアルロン酸製剤(潤す・角膜保護)+抗ヒスタミン点眼薬(かゆみ・アレルギーを抑える)
- この場合は、間隔を5分以上あけて点眼

面倒ですが最低5分は間隔をあけないと、先にさした点眼の効果がほとんどなくなってしまいます。
寝る前の点眼は控えた方がいい
夜は涙の分泌が少なくなるため、点眼薬をさすと目の中で薬の濃度が高くなりすぎることがあります。
その結果、刺激や副作用のリスクが高まることも。
👉 基本的に、寝る直前の点眼は避けた方が安心です。
※医師から「寝る前に点眼してください」と指示がある薬は、その指示に従ってください。
コンタクトレンズと点眼薬
正しい使い方
- コンタクトレンズは外してから点眼
- 点眼後は5分以上あけてから再装着
理由は防腐剤のベンザルコニウム塩化物が入っているから
点眼薬には ベンザルコニウム塩化物 という防腐剤が含まれていることがあります。
この成分はコンタクトレンズに吸着しやすいです。
⚠️ 吸着すると…
- 角膜を傷つけることがある
- コンタクトレンズが着色する
※コンタクトOKの製品は気にしなくて大丈夫です。

1dayコンタクトならすぐ捨てるから大丈夫と説明されることもあると思いますが、私は目とコンタクトの間に薬長く留まるのが気になるためしません。
よくある間違い
- 2滴以上さす → 目の容量オーバーなので無駄になる
- 点眼直後にパチパチ瞬きをする → 薬が流れ出る
- 記載の使用期限まで使える→開封してからは(2週間〜)1ヶ月までが使用期限
まとめ
- 点眼薬は 1回1滴(50μL)で十分
- 複数使用時は 5分以上間隔をあける
- OTCは1本で様々な症状に対応でき便利
- 使用期限は1ヶ月以内(2週間以内のものもある)
- コンタクトは外して点眼、再装着は5分以上後に
FAQ
Q. 病院で2種類以上の点眼薬が処方されました。点眼の順番を教えて。
👉 一般的には、
水溶性 → 懸濁性 → ゲル化点眼薬 → 油性 の順番。
💡「サラサラのものからドロっとしたものへ」で覚えると簡単。
ゲル化タイプは薬剤師から説明があります。
さらに、5分以上あけることが必須です。

粘度が高いものを先に点眼する場合は10分以上間隔をあけましょう
Q. 目薬は副作用ないんじゃないの?
👉 点眼薬は飲み薬のように全身へ広がりにくいため、全身への副作用は少ないです。
ですが、目薬は鼻を通って吸収され、全身に回るため全くないわけではありません。

目薬をさしたあと喉の奥が苦くなることはありませんか?
💡 対策:点眼後に目頭(涙点)を押さえる
→ 全身への移行を減らせる
→ 口の中が苦くなるのも防げる
Q. 目薬って冷やした方がいいの?
👉 基本は常温保存でOK。
ただし種類によっては、冷蔵庫での保存が必要なものもあります。そのときは薬剤師から説明があるはずです。
💡 私自身はできるだけ添加物が入っていないものを選ぶため、液体という性質上 冷蔵庫で保管することもあります。
温度が低い方が菌の繁殖を抑えやすく、開封後も安心して使えると感じるからです。
さらに目薬は他の人と使いまわさず、開封してから2週間〜1ヶ月以内の使用にとどめましょう。
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